日曜日のジムのプールで泳いだ帰りに突然、車のスピードが上がらなくなってしまった。アクセルを踏み込んでもエンジンの回転数が上がらない。エンジンの形(?)をした警告灯がスピードメーターの横にオレンジ色で点滅している。
時速20㎞を超えることができない。後ろを走る車からクラクションを鳴らして急かされる。
道路が少し広くなった場所の路肩に車を停めて、ダッシュボードから取扱説明書を探し出して見てみると、PGM-FI警告灯というものらしい。
あとで調べて分かったことだけれども「プログラムド フューエル インジェクション」という電子制御式燃料噴射システムの不具合があるというわけだ。
その時には何のことかわからずに、一旦エンジンを止めて、もう一度かけなおしてみると、警告灯も消えて順調にエンジンも吹き上がり、通常通りの運転ができた。
日曜日の夕方はそうして無事に帰りつくことができた。
翌日月曜日、週の初めの出勤。いつものように車を動かし始める。
5分ほど走ったところの上り坂で昨日と同じ症状で車が失速。上り坂なのでほとんど止まってしまうようなトルク感。
これまた後ろから走ってきているトラックにクラクションを鳴らされる。なんとか横道にそれて、昨日と同じようにエンジンをかけなおすも、昨日のようには回復しない。
車の通行量の少ない裏道を通って引き返す。上り坂以外では何とか時速20㎞程のスピードは出る。
ようやくたどり着いて、ロードサービスに連絡する。ガソリンスタンド系のクレジットカードに付帯しているロードサービス。場所と症状を伝える。エンジンの不調などには対応してくれないらしい。
10km未満のレッカー移動の場合は無料でサービスを提供してくれるとのことだが、修理工場、整備工場などは自分で手配して連絡しないといけないとのこと。
レッカー車の到着までには1時間ほどの時間がかかるらしい。
車検を受けた整備工場は勤務先の会社の近くで25㎞ほど先にある。これではレッカーの費用も掛かってしまうので、自宅の近くにある整備工場を探してみる。
まだ朝が早いせいか電話がかからないところが2軒。電話がかかっても「うちは板金塗装なので」と断られたところが2軒。ようやくつながった整備工場に症状を説明しこれから持ち込まさせてもらう旨伝えて電話を切る。
予定より少し早くレッカー車到着。
レッカー車と言ってもクレーンで吊り上げて牽引するタイプではなく、積載型の車で荷台が後ろにスライドして接地、スロープを昇って車を荷台に乗せるタイプで、積載作業中の全長は収納したときの全長の2倍の長さになってしまうような大きなレッカー車が狭い自宅前の道路を占拠してしまう。
何台かの車がそれを見て迂回するのが見えた。迷惑をかけて申し訳ない。
クレジットカードの確認、サービス内容の確認、現状写真の写真撮影などを済ませて車を積みこんでもらう。
劣化者には搭乗させてもらえないので自転車で整備工場に向かうことにする。しばらく乗ってなかった自転車の前輪の空気が抜けきっていたので急いで空気を充填。
ここ何日かの中では比較的暖かな冬の朝だったけれども、鼻水を垂らしながら自転車で整備工場に向けてぺらるを回す。
レッカー車より先に整備工場に到着。
修理・整備・車検の前後だろうと思われる車が隙間を詰めて並んでいる。
にこやかに迎えてくれたのは後でわかったことだけれどもその整備工場の社長。事務所兼応接に案内してくれて、電気ストーブの前で暖まるよう勧めてくれる。
ほどなくレッカー車も到着。車を下ろして整備工場の中に。
パッドにサービス完了のサインをしてレッカー車の任務はここまで。
整備工場の社長が「これから点検するのでちょっとまっててくれ」
しばらくすると若い整備士がパッドを抱えておくからやってきた。社長の息子だろうか。
「コンピュータの中身を確認しますね」と運転席の下に頭を突っ込んで配線を接続している模様。作業の中身は詳しく見えない。
しばらく応接で待っていると若い整備士が入ってきて、
「プラグとイグニッションコイルの交換が必要ですね」という。
コンピュータでエンジンの点火を制御している部品の経年劣化破損で4番目のシリンダーの失火が原因とのこと。
4つあるシリンダーのすべてを交換した方が良いとのことなのでそのようにしてもらうことにした。費用は7~8万円ぐらいかかると思われる、メーカーから部品を取り寄せて出来上がれば連絡するとのこと。
通常は10万キロを目安に交換するか新車に乗り換えるのがお勧めとか。20万キロを超える走行距離までよく持ちこたえたといわれる。
キャブレターで燃料を供給しているという時代からコンピュータで制御されて走っている時代の変化。
チョークレバーが無くなったり、冬の暖機運転をそれほど必要としなくなったのもこう言った技術の進歩のお陰なのか。
自転車で駅まで行って月曜日は久しぶりの電車通勤。
夕方、携帯に整備工場から電話がかかり出来上がったとの連絡。
会社から電車、自転車を乗り継いで整備工場で引き取り。痛いなあと思っていた7~8万円の部品代と工賃は5万円台に収まっていた。安心させるための過大な見積だったのかもしれないと思いつつも、7~8万円が5万円台に収まったことに安心する単純。
クレジットカードでの支払いを済ませて、自転車を積みこむ。ラジオのスイッチを切って調子のよくなったエンジンの音を聞きながら車を走らせて自宅に戻ってきた。